大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)141号 判決

一 諸求の原因一ないし三の事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、審決の取消事由の存否について判断する。

1 原告が主張する審決の取消事由の1及び2の第一段の事実は、当事者間に争いがない。

2 そこで、本件発明が引用例に記載された発明と同一の発明であるか否かについて考える。

当事者間に争いのない原告主張の審決取消事由1及び2の第一段の事実に成立に争いのない甲第三号証を合せ考えると、引用例において造粒中に加えられた水蒸気(水分)の量は固体重量に対して五%であり、一方、造粒機から出た製品中の水分は、製品全体の重量の約六%ないし八%であるから、もともと原料粉砕物中に存在していた水分は、右約六%ないし八%から五%を控除した約一%ないし三%と解せられる。そして、前掲事実及び証拠によれば、この水分が、原料である塩化カリウム(二六%)、燐酸一アンモニウム(二五・七%)及び硫酸アンモニウム(四八・三%)中に均等に含まれていることは明らかであるから、別紙「計算書」のとおり成分燐酸一アンモニウム(NH4H2PO4)に含まれている水分は、燐酸一アンモニウムの約〇・二五七%ないし〇・七七%となることが認められる。

ところで、本件発明の構成要件である固体成分中の水分含有量は、湿式粒状化に要する水分の少なくとも一五%に相当する量であることは当事者間に争いがない。しかるに、引用例における湿式粒状化に要する水分は、右のとおり製品中の水分である約六%ないし八%であるから、その原料のうち本件発明でいう固体成分に相当する燐酸一アンモニウム中に最初から存在した水分(〇・二五七%ないし〇・七七%)は、湿式粒状化に要する水分(約六%ないし八%)に対し、約四・二八%ないし九・六三%になる。しかして、この量は、本件発明の構成要件である湿式粒状化に要する水分の少なくとも一五%には満たない量であることは明らかである。

そうしてみると、本件発明は、引用例の記載の発明と同一発明であるということはできず、これを同一発明であるとした審決の判断には誤りがある。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由があるから、これを認容することとする。

〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

〇・九五ないし一・六の範囲のN:P原子比をもつ固体状燐酸アンモニウムを少なくとも一五%含有しかつ一五%までの水含量を有する固体成分を他の肥料成分と混合し、ついで、この混合物に水を添加して湿式粒状化処理することからなり、かつ、その際使用する前記の固体成分が目的とする複合肥料にその全重量に基づいて少なくとも五%のP2O5を与えかつ湿式粒状化に要する水の少なくとも一五%を提供しうるものであることを特徴とする粒状複合肥料の製造法

〔編註その二〕 本件に関する別紙は左のとおりである。

別紙

計算書

引用例における水分含有量パーセンテージ

成分   含有量 全体の水分1%~3%の時各成分の水分量 粒状化に要する水分6%~8%に対する左の水分の割合

燐酸アンモニウム(NH4)H2PO4  25.7% 0.257~0.77% 4.28~9.63%

塩化カリウムKCl 26% 0.26~0.78% 4.33~9.75%

硫酸アンモニウム(NH4)2SO4  48.3% 0.483~1.45% 8.05~18.13%

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